若い人でも歯周病

  歯周病というと、その進行には時間がかかるので、歳を取ってから症状が出る病気と思われています。ところが、最近の傾向としては、10代や20代といった若い世代にも歯周病にかかる人が増えています。
若い人の歯周病は、歯茎のみが腫れている場合が多く、思春期性歯肉炎などと呼ばれます。
歯周病初期の段階ですので、適切なケアで回復します。
この時期はホルモンの分泌が増え、特に女性ホルモンは歯肉炎を起こしやすくなったり、炎症が強く出たりしやすくなどと言われており、今まで以上にケアが重要になります。
しかし、歯みがきはこの年代になれば本人任せになっていて、ややおろそかになりがちであるし、食べる量も増え、ファストフードや菓子といった歯垢となりやすい食べ物を摂る回数も多くなってきて、歯肉炎になりやすくなってしまっています。ファストフードや菓子などの軟らかい食べ物を摂ることが多いと、顎の筋肉や骨格の十分成長せず、歯並びが悪くなることもあるので、いっそう歯垢の溜まりやすい口腔環境になる可能性もあります。
他にも柔らかい食べ物では歯の清掃効果も期待できませんし、咀嚼回数が減ってしまうことは歯やあごの周りの血行を悪くし、さらに歯周病を悪化させます。免疫力や抗酸化作用という面から見ても、ビタミンやミネラルが少ないこれらの食品はからだにはあまりプラスにはたらきません。

多くの場合は軽度の歯肉炎である若い人の歯周病ですが、まれに「侵襲性歯周炎」を発症することがあります。若い人に多く「若年性歯周炎」とも呼ばれます。通常の歯周病と比べ、5~10年という急速な速度で進行するタイプで、処置が遅れるとどんどん症状が進んで最終的には歯を失ってしまうことになります。
侵襲性歯周炎は、口の中に特異的な細菌が多く存在していることが主な原因だといわれています。その特異的な細菌は、白血球などに対して毒性を持ち、歯周ポケット内に存在して急速に増加します。その増加によって炎症がますます強くなり、歯周組織が侵されます。遺伝的要因や生活環境が似ているということから、家族の方に侵襲性歯周炎の人がいらっしゃる場合、発症の確率が高いので、いっそうの注意が必要です。

軽い歯肉炎であっても、歯肉が腫れるようなことがあれば、歯科医院の指導を受けることをおすすめします。この時期に正しい口腔ケアを身につけるよい機会かもしれません。


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