歯みがきの歴史

 今回は、歯みがきの歴史です。以前のコラム「むし歯の歴史」のなかでも少し触れていますが、今回はもう少し詳しく、歯みがきに使われた道具を中心に見ていきます。

歯みがきの歴史 木の枝・・・のちのつま楊枝の原型ですが、木の枝の端を歯で噛んでほぐし、やわらかくして歯を磨きました紀元前3000年ごろの古代エジプトの「チュースティック」、紀元前500年ごろ、釈迦が広めた「歯木(しぼく)」などです。
インドでも3000年以上前から、ニームという木を歯ブラシ代わりに噛む習慣があり、現在も多くの人々が使っているそうです。
  日本にも6世紀ごろ、仏教の伝来ともに「歯木」が伝わっています。
  木の枝で歯をみがく習慣は、東南アジアだけでなく、ケニアなどアフリカの各地でもみられます。

つま楊枝・・・木の枝の歯みがきから進化して、木を加工して使いやすくした「つま楊枝」が登場し、歯みがきに使うようになります。日本で江戸時代に使われていた房楊枝などもその一つです。 房楊枝は、かわ柳などの小枝の先端を煮て、かなづちで叩き、針で作った櫛ですいて、繊維を柔らかい房状にしたものです。
つま楊枝はヨーロッパでも歯みがきの道具として、紀元前から使われていました。のちの中世の貴族の間では、金属製のつま楊枝が主流で、装飾して首飾りなどとして携帯したり、料理の席にフォークやナイフとともに並べられていました。

歯ブラシ・・・現在の歯ブラシに近い形のものは、ヨーロッパ誕生説と、中国で考案され、シルクロードを経て西洋に伝わったという説があるそうで、いつごろから使われ始めたかもよくわかっていません。
中国では、10世紀ごろの歯ブラシが見つかっており、13世紀の日本の仏教書「正法源蔵」にも、中国で歯ブラシが使われていた、という記述があります。
一方で、アメリカの歯科医師会によると、15世紀に中国の皇帝が世界で最初に歯ブラシを使い始めたとしています。
大量生産され普及し始めるのは、18世紀のイギリスで、骨でできた持ち手の先端に穴をあけ、イノシシの毛を植えて針金で留めたものだったそうで、現在の歯ブラシの原型といえるでしょう。

木の枝を優れた歯みがきの道具として、現在でも使っている地域がある一方で、最新の歯ブラシや補助器具も次々と開発されています。 現代の日本では、歯みがき用の木の枝を見つけることは逆に難しいかもしれませんが、自分に合った歯みがきの道具を見つけたいものです

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