歯肉にできもの エプーリス

歯と歯の間にできものができて、どんどん大きくなって歯と同じくらいの大きさになったら、だれもが不安になることでしょう。「がん」だったらどうしよう・・・。しかし、歯肉にできるのは「がん」だけでありません。今回は歯茎の上にできるおでき「エプーリス」についてです。歯肉にできもの エプーリス

 エプーリスの意味はギリシア語で「歯肉の上にあるもの」ということです。悪性腫瘍(がん)とは違って、エプーリスは良性で限局性(げんきょくせい=できた場所にとどまっている)の腫瘤(=できもの、こぶ)の総称で歯肉腫(しにくしゅ)とも呼ばれます。
 その形は、根元がくびれていて半球形のものが多いですが、くびれていなかったり、ゴツゴツした形状のものができることもあります。弾力性があって、色はピンクや赤みがかった場合が多く、含まれる線維成分の量によって、白っぽかったり、硬かったりします。
 できやすい部位は、上顎の歯と歯の間で、奥歯より前歯、裏側より表側にできやすいようです。通常は痛みはありませんが、大きくなって周りの歯が傾いたり、離れて開いたり、動いたりすることがあります。
 歯肉にできものができても、このようなエプーリスの特徴を多少とも知っておけば、少しは心配も安らぐかもしれません。
 エプーリスができる原因は、歯肉への慢性的刺激やそれによる炎症で組織が反応するためです。虫歯治療などでの合っていない金属、歯石などによってできてきます。また妊娠時の女性によく見られるのは、女性ホルモンなどの内分泌異常が誘因と考えられています。
妊娠中の女性のほか、20歳を過ぎてからできる人が多く、男女の割合も女性が2倍ほどです。

 痛みはないものの邪魔だし、大きくなるのも嫌なので治療したい、となると切除となります。表面だけだと再発の恐れがあるので、発生場所である歯肉や歯槽骨表面も徹底的に除去します。それでも再発するようであれば発生場所が歯根膜とも考えられるので抜歯することになります。合わせて原因となった合わない金属や歯石についても治療、除去をします。妊娠性の場合には出産後、縮小消失する場合も多いので、経過観察として出産後消失しない場合には切除することになります。
 歯肉がんや頸骨の腫瘍など悪性の腫瘍かどうかの最終診断には、細胞を処理して顕微鏡で調べる病理検査が必要となります。

 歯肉にできものを見つけたときは、過剰に心配する必要はありませんが、必ず歯科医院、歯科口腔外科を受診しましょう。

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