気になるかみ合わせ

　私たちが毎日の生活を送っていくなかで、歯のかみ合わせが気になることはほとんどないでしょう。
しかし、歯が痛くなったときや歯の治療でかぶせ物や詰め物をしたときに、なんだかかみ合わせの違和感を感じるときがあります。
また疲れたときや、堅い食べ物、歯ごたえのある食べ物を多く食べたときなどに感じるときもあります。

　歯の痛みや疲れ、堅いものの食べすぎで感じるかみ合わせの違和感の原因の多くは、歯根膜が炎症を起こしているためと考えられます。歯根膜は歯と骨をくっつけている薄い膜のようなもので、厚さは0.1ミリ～0.3ミリ程度です。歯根膜は歯と骨の間で緩衝材となり、噛むときに歯に伝わる力を吸収・分散し、歯や骨にかかる力を和らげます。また、噛んだ時の微妙な感覚や刺激を、脳に伝達する役割もあります。
　むし歯や歯周病の進行、歯の根の部分の膿、など歯や口の病気のときに歯根膜が炎症を起こし、歯が浮いた感じになり、かみ合わせ部分では歯の当たりが強くなることがあります。
そのようなときは、歯科医師の助けも借りての治療が必要です。歯の当たりが強くて炎症がおさまらないときは歯を少し削る治療が必要なときもあります。
　疲れ、堅いものの食べすぎといったときは、やがて疲れが取れ、堅い食べ物を控えれば、歯根膜の炎症もなくなり、違和感はおさまるでしょう。

　歯の治療でかぶせ物や詰め物をしたときのかみ合わせの違和感についてです。かぶせ物をつける前、歯を削った結果として、少し隙間があったり、噛み合わせの歯との当たりが弱くなっていた場合などは、実際にかぶせ物・詰め物をつけると歯の位置が高くなった気がすることがあります。
つけた直後は違和感を感じても、正しい高さであれば時間とともに慣れてくることもありますので、慎重な判断が必要です。

これまで書いてきた、かみ合わせが気になる症状は、どちらかというと一過性の違和感で、歯根膜の炎症をおさえたり、歯の当たりを調整することで改善します。
これ以外に歯ぎしりや噛みしめなどの癖が原因で、歯がすり減り、かみ合わせを狂わせるケースがあります。長い期間でかみ合わせのバランスも悪くなっていると、矯正治療が必要となることもあります