ペットの歯の病気 犬もむし歯になる?
犬や猫その他の生き物を、ペットとして、またはそれ以上の存在として、大事にされている方も多いと思います。今月は人から離れて、ペットの歯の病気についてです。
ペットの歯の病気も様々なものがあって、ヒトではありえない病気になることもありますし、ヒトと同じように歯周病になることもあります。
たとえば、ヒトではありえない病気として、ウサギなどのように、一生歯が伸び続ける動物では、歯がうまく削れずに伸びすぎてしまい、歯のかみあわせが悪くなって、餌が食べられなくなるケースがあります。動物病院に歯のことで通うことが一番多い動物はウサギだそうです(予防のための歯切りも含まれます)。
一方、ヒトの歯の2大疾患はむし歯と歯周病ですが、犬や猫などペットの場合は、むし歯より歯周病がかなり多く、むし歯にはなりにくいとされています。これは、犬や猫はもともと肉食獣で歯が鋭い円錐形をしていて、歯と歯の間が広いこと、炭水化物をあまり摂らない食事であること、唾液が酸性でないこと、などが原因とのことです。しかし、最近の犬や猫は食生活も変化していて、炭水化物も多く摂るようになってきているし、甘いものが好きなペットもいるようで、そうした食生活では、むし歯になることもあります。
もうひとつの歯周病については、ヒト同様、悩まされている犬や猫が多いようです。6歳以上の犬・猫の8割以上に治療を必要とする歯周病が存在しているという調査結果もあるそうです。犬や猫の歯周病もヒトと同じで、第一の原因はプラークです。プラークにより歯肉に炎症が起こり、深く広がっていって、やがて歯がグラグラになり最後には抜け落ちてしまいます。
予防についてもヒトと同じで、プラークコントロールがもっとも大切です。ペットの場合は、自分では歯磨きはできないので、飼い主が責任をもって行わなければいけません。最初は嫌がることも多いですが、やさしくマッサージすることから始めて、根気よく続けることが必要です。歯磨きには、ペット用の歯ブラシより硬いものは決して使ってはいけません。犬や猫の歯は、ヒトに比べてエナメル質がとても薄いので、硬い物を使うと剥げてしまうことがあります。同時に固い食物や噛むためのおもちゃを与えることで、プラークを落とすなど、口のなかを清潔に保つような食事面での工夫も重要です。
ペットの歯のケアへの意識をもつことで、ご自身の歯のケアについても、あらためてその大切さを考えていただけたらと思います。
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