舌の役割
おいしいものを味わう、会話を楽しむ、これらに舌が大切な働きをしていることは、簡単に想像できると思います。今回は舌の役割に考えてみます。
まず冒頭の二つの役割について見てみます。味を感じるのは、舌の表面などにある味蕾と呼ばれるセンサーです。
味の種類は、甘味、苦味、酸味、塩味に旨味を加え5つの味が絡み合って構成されています。
これらの味は舌のどこでも感じますが、部位により感じやすさに差があり、苦味は舌の付け根のあたり、酸味は舌の縁、甘味と塩味は舌の先の方-舌尖(ぜっせん)でより敏感に感じられます。
食べる行為そのものにおいても、舌は重要な働きをしていることを見落としてはいけません。
食べ物を口に取り込むとき、ます舌で受け取り、温度や食べ物の食感などを瞬時に感じ取ります。その後、かみ砕くときには、舌は食べ物を歯と歯の間に運んだり、上手に噛めるように食べ物をささえます。食べ物が少し細かくなると再び集めて歯の上に移動させるのも舌です。のみ込む段階になると食道に向かって食べ物を押しだしています。
話をすること=発声には、舌と唇が重要です。私たちが出すいろいろな音には、主に口を使って発生する口唇型とでもいう音と、舌の役割が大きく関わる舌型の音とに分けられます。
母音であるア行は舌も唇もほどほどに使うので別とすると、口唇型といえるのは、マ行とワ行、舌型といえるのは、カ行、サ行、タ行、ナ行、ヤ行、ラ行など、中間型がハ行だそうです。
時代の流れで見ると昔は口唇型の言葉が比較的多く、外来語が増えたことなどもあって近年は舌型の言葉が多くなってきているそうです。
各地域の方言を発音から見ると、関西が口唇型、九州、関東、東北は舌型という傾向があるそうです。
舌は歯並びにも影響します。舌の先は何もしていない状態や物を飲み込む時はスポットと言われる上の前歯の少し後ろの位置にあります。前歯には触れていません。これが、幼いときの指しゃぶりや口呼吸などの影響で舌の定位置が下に下がっていると前歯に常に当たっている状態になり、のみ込むときに前歯を強く押してしまいます。その結果、歯と歯の間が開いてしまったり、前歯が前に出て上下が噛みあわなくなったりします。この「低位舌」は歯並びだけでなく、いびきや不明瞭な発音、食事中にむせやすいなど、いろいろな影響が出ます。
つばを飲み込んでみたときに、舌先がスポットから離れ歯に触ってしまうようだと「低位舌」の兆候があります。心配な方は歯科医師に診てもらいましょう。
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