歯ぐきの腫れと出血

   

以前、「リンゴを齧ると歯茎から血が出ませんか?」という歯磨剤のCMがよく流れていましたが、だいぶ昔のことかも知れず、若い方でご存じの方は、あまりいらっしゃらないかもしれません。昔も今も歯ぐきからの出血や腫れで心配になる方は多いのと思うので、今回は歯ぐきからの出血と腫れについて、書いてみます。
歯ぐきの腫れと出血歯ぐきが腫れたり、出血した場合、まず疑われるのは歯肉炎と歯周病です。前述のCMも歯槽膿漏への効果をうたった歯磨剤でした。歯周病は、歯周病菌が原因で歯ぐきが炎症を起こし、腫れや出血をもたらします。
軽度の歯肉炎の段階であれば、プラークコントロール、すなわち患者さん自身の適切なブラッシングと、歯科医院での歯石取りなどのクリーニングで、炎症はおさまります。
  重度の歯周病になってしまうと、歯石剥離掻爬(そうは)など外科的措置が必要になり、最悪の場合は歯を失うことになります。
歯周病は最初は自覚症状もなく徐々に進行するので気づきにくく、わかったときには深刻なことになっているケースも多く見られます。日頃からプラークコントロールを意識して、予防に努めましょう。

腫れや出血の別の原因としては、歯の根の部分に細菌などが入り込んで炎症を起こし、その影響で歯ぐきが腫れるケースがあります。これはむし歯が進行して歯髄まで達した場合や、神経を抜いたあとに何らかの原因で細菌が入り込んだりして発症します。この場合は、歯の根の部分の治療が必要となります。細く複雑なかたちをしていて、なおかつ見えない部分である歯の根の汚れを完全に取り除き、消毒・封鎖します。技術的に難しく根気のいる治療で、数回から数カ月の通院が必要になります。

ほかにも、口内炎で腫れる場合、力任せの不適切なブラッシングによる出血、ドライソケットと言って、歯を抜いたあとのくぼみがうまくふさがらずに腫れるケースなどもあります。歯肉がんが原因の腫れや出血もあります。全身疾患との関わりで出ることもあり、特に白血病など血液の病気では出血することがあります。

このように歯ぐきの腫れ・出血といっても、いろいろな原因があります。歯周病の症状と自己診断して、ブラッシングに精を出すとかえって逆効果、ということにもなりかねません。 また口内炎などがそうであるように、しばらくするとおさまることも多いので、ついつい様子見になりがちです。 重大な疾患の表れである可能性もありますので、1週間程度しても、改善がみられないようであれば、早めに歯科医院に行かれた方が良いでしょう。



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