骨粗しょう症と歯周病

   

お口のなかの健康とからだ全身の健康には、さまざまな関連があることはこれまでも何度か触れてきました。今回は骨粗しょう症と歯周病の関係です。
 みなさんもご存知だと思いますが、骨粗しょう症とは「骨の量(骨密度)と骨の成分(骨質)からくる骨の強さ(骨強度)が低下することで、骨折しやすくなった状態」を指します。骨吸収と骨形成という新陳代謝のバランスが崩れて骨密度が低下し、骨がスカスカの状態になってしまうのです。
  骨密度は20歳前後まで増加をしたのち、40歳代半ばまではほぼ一定ですが、その後は腸からのカルシウム吸収が悪くなってしまい低下していきます。
 さらに女性の場合、閉経後女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急速に減少し、骨吸収が異常に高まり、骨形成が追いつかなくなり、骨粗しょう症がリスクは高まります。閉経後の女性に骨粗しょう症が多いのはその為だといわれています。
 一方、歯周病では、歯槽骨の吸収を伴います。骨粗しょう症と同じく骨を侵される病気なのです。加齢やホルモンの影響などで全身の骨密度が低下する骨粗しょう症と、歯周炎を起因とする歯槽骨吸収が起こる歯周病ですが、そこにはいろいろな関連があります。
 まず、エストロゲンの減少ですが、骨密度を低下させるという面から、顎骨や歯槽骨の骨密度の減少を引き起こす危険因子でもあることがわかってきました。さらに歯周組織の炎症にも影響があるということが言われています。
 カルシウムについては、カルシウムの吸収力が落ちると骨密度を低下させますが、カルシウム不足は歯周病にもなりやすいということもわかってきました。
 さらに骨粗鬆症の人が歯周病になった場合、骨が脆くなった分だけ顎の骨も吸収されやすくなってしまうので、歯周病が悪化しやすいという報告もあります。逆に骨粗しょう症の治療によって、歯の喪失や下顎骨の骨密度低下、歯槽骨吸収、歯周組織の破壊などを抑え、歯周病にも効果があることが報告されています。
 骨粗しょう症と歯周病の関係は、まだ全ては解明されていません。今後研究が進めばさらに色々なことがわかってくるでしょう。
 お口の健康にも影響を与えかねない骨粗しょう症。その予防として、カルシウムのほか、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質などの摂取をこころがけ、適度な運動をして、骨を丈夫にしましょう。それは歯周病の予防にもつながることは間違いないようです。
 



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