歯が浮く話
「歯の浮くようなセリフ」は、聞いても決して愉快にはならないように、実際の歯が浮く感じがするのも、愉快なものではありません。
例えば、疲れてくると歯が浮くという方もいらっしゃると思いますが、これはどういう症状なのでしょう。
歯の根の部分と骨(歯槽骨)の間には、緩衝材の役割をする歯根膜という膜があります。
歯が浮く、噛み締めると痛いという症状は、この歯根膜の毛細血管がうっ血して腫れ、炎症を起こしている場合が多いようです。
歯根膜は周りを骨に囲まれているので、腫れると歯を持ち上げる形になり、わずかですがまさに歯が浮いてしまうのです。
疲れたときには、首や肩の血行が悪くなって、肩こりを起こすことがありますが、これと同じで、歯根膜が血行障害を起こすことが歯が浮く原因のひとつです。
これもまた肩こりと同じですが、ひどくなると眼が痛くなったり、頭痛がしたりと、からだのほかの部分にも悪影響が出てくるので、疲れが原因と考えられるときは、無理をせず休養を十分にとって、症状を和らげましょう。
歯が浮く原因にはほかにも、硬いものを食べたとき、無理な食べ方をしたとき、歯を食いしばるような強い運動をしたときなどにも、歯根膜が圧迫されて痛んで炎症を起こすケースがあります。噛みしめ癖のある人や、お酒の飲みすぎなどで、起こることもあります。
歯が浮く症状が、疲れたときなど一過性のものであれば、あまり心配はありません。
しかし、むし歯や歯周病が原因で炎症を引き起こしていることもありますし、普段は痛みや腫れを感じない初期のむし歯や歯周病が、疲れたときや風邪のときに、菌の活動が活発になって、症状を悪化させることがあるので、浮く感じが長引いたり、たびたび起こるようであれば、一度歯科医に診てもらうほうがよいでしょう。
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