噛みしめとおなら? 呑気(どんき)症候群
噛みしめについては、以前「歯ぎしり」の項でも触れましたが、今回は噛みしめが原因で、おならの回数が増えてしまうほか、さまざまな症状を引き起こすという呑気(どんき)症候群についてです。
噛みしめという癖自体も、歯(歯の磨耗、歯の神経の炎症、被せ物がとれてしまう等)や、顎(顎関節症)にあまりよくない影響を及ぼします。
頭痛や肩こり、耳鳴りなど全身に影響が及ぶことがあります。
歯を噛みしめた状態では、上あごの前のほうに舌が自然とつきます。 この状態だと唾液がのどの奥に溜まってきて、体が反射的にたまった唾液を飲み込みます。 その際、空気も一緒に飲み込んでしまいます。
1回に飲み込む空気の量は数ccで、1日に溜まる空気が 50cc 位まであれば正常です。 しかし、 噛みしめ癖や、早食いや炭酸飲料の飲みすぎ等、その他唾液を頻繁に飲む癖があると、胃腸内に 200~300cc もの空気が溜まってしまうことがあります。 胃のなかに空気がたまると、胃の不快感や痛み、上腹部の膨満感が生じます。 また、胃に溜まった空気が心臓を圧迫し、動悸を感じたり、胃下垂の症状を起こしたりします。 胃の空気が逆流して出て来るのがげっぷで、空気が大腸にたまるとおならとなって出て来ます。 これらの症状を、呑気(どんき)症候群と呼んでいます。
歯ぎしりの回でも書いたように、原因は高さの合わない被せ物や、かみ合わせが悪いなど、顎の筋肉の緊張にアンバランスが生じているケースと、ストレスや鬱といった心理的要因が考えられるケースがあるとされています。
治療としては、被せ物やかみ合わせの調整、ストレス・鬱からの解放ということになります。 噛みしめの多くは、無意識のうちに行われていて自覚がない場合も多いので、これらを意識するだけで、自然と噛みしめの回数を減らすことができます。
症状が改善しない場合は、専門医を受診したほうがよいかもしれません。 ストレスをコントロールするための心理療法、薬物療法、リラクゼーションの習得のための自律訓練法、など心療内科の範疇と、被せ物やかみ合わせの調整、より噛みしめを強く意識できるよう薄いマウスピースを装着する治療などの歯科分野、と両方に亘るので、両科が連携を取れる診療所を選ぶとよいでしょう。
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