食事がのどを通らない 嚥下障害・ドライマウス

   

前回コラムで「食事がのどを通らない」さまざまな原因について書きました。「痛み」「飲み込みにくい」「口が乾く」そして「こころ」など、それぞれの原因はもう少し掘り下げてみたくなるものも多いです。今回はそのなかで、お口まわりに近い「飲み込みにくい」…嚥下障害と「口が乾く」…ドライマウスについてみてみたいと思います。
食事がのどを通らない 嚥下障害・ドライマウス 嚥下障害の「嚥下」とはものを飲み込む動作のことです。口のなかから食道などにかけて口内炎や喉頭がんなどの炎症・腫瘍があり、うまく嚥下ができないケース(器質的原因)、脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、重症筋無力症などで、脳から嚥下の指令がうまく伝わらないケース(機能的原因)、加齢により咀嚼する筋力が衰えて嚥下が難しくなるケースなどがあります。
嚥下障害に伴って引き起こされることが多いのが「誤嚥性肺炎」です。「誤嚥」とは、嚥下障害によって、うまく飲め込めなかったものや、唾液ときには胃液などが誤って気管や気管支内にはいることを言います。このとき、飲食物や唾液に含まれる細菌(主に歯周病の原因菌)が肺まで入り込んで、炎症が起きてしまうのが「誤嚥性肺炎」です。「誤嚥性肺炎」は高齢者に多く、命取りとなってしまうこともあり「肺炎」は高齢者の死因として、他の若い世代の死因より上位にあります。
ドライマウスの原因はさまざまで、加齢により噛む力が弱くなり唾液の分泌が減ってきたときや、ストレスで、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ唾液が出にくくなるとき、糖尿病・シェーグレン症候群・エイズ・パーキンソン病などの病気、血圧降下剤・抗うつ病薬・利尿薬・抗アレルギー薬・鎮痛薬など薬の副作用、などが挙げられています。ほかにも、柔らかい食べ物が増えて噛まなくなってきたので、唾液の分泌が減ったため、ハウスダストなどが原因でアレルギー性鼻炎が増え、口呼吸になり、お口のなかが乾燥しやすくなったため、といった要因も言われています。
ドライマウスになると、食べ物が飲み込みにくくなるほか、口臭の原因にもなり、虫歯・歯周病になりやすくなります。

嚥下障害・ドライマウスは、社会の高齢化や、食生活の変化などが増加原因のひとつとも挙げられていて、現代社会が向き合う問題のひとつであると言えるでしょう。



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