副鼻腔炎と歯

   

「歯が痛い!!」となったとき、普通は歯の病気、虫歯や歯周病を疑います。けれども、痛みが上あごの奥歯の場合は、歯の異常ではなく鼻の周りの異常というケースもあります。今回は副鼻腔炎と歯の関係です。副鼻腔炎と歯

 副鼻腔とは、鼻の奥にあって、上あごやほおに囲まれた鼻腔と通じている空洞で、
上顎洞(じょうがくどう)、
前頭洞(ぜんとうどう)、
篩骨洞(しこつどう)、
蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)

の4つにわかれています。
 この副鼻腔に風邪などのウィルスや 細菌の感染によって炎症が起きるのが、副鼻腔炎です。蓄膿症と呼ばれることもあります。
副鼻腔炎の炎症が上顎に近い上顎洞に起きたとき、非常に近い関係にある上顎の奥歯の根のあたりや歯茎に痛みが出ることがあるのです。

 副鼻腔炎による歯の痛みの特徴として、上顎の奥歯が何もしなくてもズキズキする、かみ合わせた時に痛む、歯の根が浮いた感じがする、などがあります。さらに歯の痛み以外に頭痛、目の奥の違和感、おじぎやかがんだりなど動いた時にひびく、鼻づまり、口の中や鼻からの悪臭、などの症状が出ます。
 また、逆に歯および歯周組織の炎症が上顎洞に移行することもあります。進行した虫歯のむし歯菌が歯の根の先から、歯周病菌が歯周ポケットから、上顎洞に侵入して炎症を起こすのです。このように歯の炎症から上顎洞が炎症を起こしたものを「歯性上顎洞炎」と呼びます。鼻が原因の場合は「鼻性上顎洞炎」となります。

 治療ですが、副鼻腔炎も含めて、上あごの奥歯やその周辺に痛みや違和感などがある場合、まず原因をはっきりさせることが大切です。原因によって治療方法が変わってきますし、歯科と耳鼻科の医院間連携が必要となる場合があるからです。まずは、かかりつけの歯科医院で相談しましょう。
 具体的な治療方法としては、鼻からくる副鼻腔炎の場合は、抗生剤を服用することによって炎症を収めることで、歯の痛みもなくなります。歯の病気が原因の場合は、まず、歯の治療を進めます。副鼻腔に広がるほどの炎症ですので、抜歯に至るケースもあります。続いて耳鼻科医によって副鼻腔の腫れた粘膜や残った膿を取り除きます。

 歯性上顎洞炎になるほどの歯の病気はかなりの重症なので、そのようにならないように日ごろのメインテナンスや定期健診で予防に取り組んでください。



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