舌の位置が歯並びに与える影響と正しい舌のトレーニング方法

      2026/09/20

こんにちは、下赤塚(練馬区田柄)の歯医者、藤山歯科クリニックです。

舌は、間違った位置が定位置になってしまうと、歯を押し出して歯並びを乱したり、顔の発育に影響を与えたりするリスクがあります。
特に成長期の子どもにとって、舌の位置はあごの発育や永久歯の歯並びに大きく関わるため、軽視できません。
今回は、正しい舌の位置と、位置のずれによって生じる問題、舌を正しい位置に保つためのトレーニング方法について解説します。

 

正しい舌の位置とは

話したり食べたりしていないときに舌が自然に収まる「安静時舌位」が、上の前歯の裏側、歯ぐきと硬口蓋の境目にある「スポット」に軽く触れている場合、舌は正しい位置にあるといえます。
この安静時舌位で大切なのは、舌が上下の歯に触れていないことです。

 

よくある舌の位置の問題

低位舌
低位舌は、舌が口の底に下がっている状態です。舌の筋力不足や口呼吸の習慣、扁桃腺の肥大、鼻づまりなどが原因であり、低位舌では、舌が上顎を内側から支えられないため上顎が狭くなり、歯が前に出たり重なったりする叢生が起こりやすくなります。また、口呼吸や虫歯・歯周病のリスク増加にもつながります。上顎の発育不足から顔が縦に長く見えたり、横顔のラインが乱れたりすることもあるほか、睡眠時に舌が喉に落ちやすいことで、いびきや無呼吸の原因になることもあります。

舌突出癖
舌突出癖は、飲み込むときや話すとき、あるいは安静時に、舌を前方に突き出す癖のことです。舌が正しい位置にある場合、ものを飲み込む際に舌は上顎に押し付けられますが、舌突出癖がある場合には舌を前歯の間に突き出します。その結果、前歯が上下で噛み合わない開咬や、前歯が前方に傾く上顎前突(出っ歯)が生じやすくなります。

 

舌の位置が悪くなる原因

口呼吸
舌の位置が悪くなる主な原因の一つは口呼吸です。鼻づまりやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、扁桃腺やアデノイドの肥大などで鼻呼吸が難しくなると、口で呼吸する習慣が身につきます。口呼吸を行う際、舌は自然と下がるため、低位舌の状態になりやすくなります。

幼少期の習癖
舌の位置が悪くなるもう一つの原因は、幼少期からの癖です。長期間の指しゃぶりやおしゃぶり、哺乳瓶の使用、爪を噛む癖、唇を吸う癖などは、舌の位置や動きを乱す原因になります。

現代の食生活
食生活も、舌の位置に影響します。やわらかい食べ物が多い現代の食生活では、しっかりとあごを使って噛む機会が少なく、舌や口周りの筋肉が十分に発達しません。その結果、舌の筋力が弱まり、正しい位置を維持しにくくなります。

歯並び・噛み合わせ
歯並びや噛み合わせも、舌の位置に影響します。口が閉じにくい歯並びや、上下のあごのバランスの乱れは、舌を正しい位置に保ちにくくします。歯並びの乱れのせいで舌の位置がずれ、舌の位置が悪いことでさらに歯並びが乱れるといったように、悪循環が生じることもあります。

 

舌の位置のセルフチェック方法

自分の舌が正しい位置にあるかどうかは、リラックスして口を閉じている状態での舌の位置を確認することでチェックできます。
この時、舌先が下の歯や口の底に触れている場合は、低位舌の可能性があります。
また、ものを飲み込む際の舌の位置もチェックポイントです。舌が前歯に触れる、あごや首の筋肉に緊張が生じるといった場合は、舌突出癖や異常嚥下のサインです。お子さんの場合は、普段の口の開き方やよだれ、いびき、食事中の音などもチェックすると、舌や口呼吸の問題を見つけやすくなります。

 

正しい舌の位置を身につけるための基本トレーニング

舌を正しい位置に保つには、筋力を鍛え、感覚を覚えさせるトレーニングが必要です。
まず、上の前歯裏から少し後ろにある「スポット」の位置を舌で確認し、正しい舌の位置を覚えるようにしましょう。また、舌全体を上顎に吸い付けて5〜10秒キープする動きを1日10回ほど行い、舌の筋力を鍛えるようにしてください。
舌を上顎に吸い付けたまま口を大きく開けたり、舌を勢いよく下ろしたりする動きを繰り返すことでも、舌の筋力が鍛えられます。

 

舌トレーニングの働きを高めるポイント

舌のトレーニングは、毎日継続することが大切です。舌の筋肉は使わなければすぐに弱ってしまいます。
また、長年の癖を改善するには、少なくても3〜6か月の継続が必要です。アラームを付けたり、目に入る箇所にメモを張ったりするなどして、意識的に習慣化するようにしましょう。

また、舌トレーニングは正しい方法で行うことが重要です。
自己流では変化が得られなかったり、逆効果になったりすることもあるため、最初は歯科医院でトレーニング方法を教わるようにしましょう。
そのほか、硬めの食材を意識的にとるようにする、正しい姿勢を意識する、鼻呼吸を心がける、十分な睡眠をとるなど、生活全体を整えることも大切です。

 

MFT(口腔筋機能療法)

多くの歯科医院では、MFT(口腔筋機能療法)が行われています。
これは、口周りの筋肉や舌の機能を正常化するためのトレーニングプログラムです。舌の位置や動き、嚥下のパターン、呼吸、口周りの筋肉の状態、歯並びや噛み合わせなどを総合的に評価したうえで、患者さん一人ひとりに合ったトレーニングメニューを提供します。

MFTは矯正治療と組み合わせて行われることが多いトレーニングです。
舌癖や口呼吸などの根本原因を改善することで、矯正治療後の後戻りを防ぎ、安定した歯並びを得やすくなります。お子さんの場合は、成長期にMFTを行うことであごの正常な発育を促し、その後の歯並び・噛み合わせの悪化を予防することもあります。定期的な歯科医院の受診とともに、家庭での日々のトレーニングが必要となり、期間は数か月から数年かかりますが、悪癖の根本的な改善とそれによる歯並びや噛み合わせの悪化防止が見込めます。

 

まとめ

低位舌や舌突出癖があると、歯並びの乱れや開咬、上顎前突、口呼吸、いびき、発音の問題など、多くのトラブルが起こるように、舌の位置は歯並びや顔の発育、呼吸、睡眠の質にまで影響します。
日々のトレーニングや口呼吸の改善、生活習慣の見直しやMFT(口腔筋機能療法)などを継続することで、健康な歯並びと美しい口元を手に入れましょう。

 



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